2008/01/21

「こわれゆく著作権」について

クロサカタツヤ氏のblogエントリ「こわれゆく著作権」について、
基本的には大いに賛同するものの、1点だけ同意できない部分があるので
自分なりに反論しておきたい。

それはMiAUについての言及で、
「誰の利益のために誰を説得しようとしているのか、という前提条件が揺れてしまい、
 結果としてアピールのためのアピールに終始しているように見える」
という氏が抱かれた印象についてだ。

もちろん印象なので誰がどのように受け止めようと自由だが、
重大な誤解が世間に広まってしまうと困るので書き留めておく。
(別に俺はMiAUの関係者ではないが、支持している一人なので)


MiAUの活動趣旨は端的に言って
「現状あちこちに散らばっているネットユーザの意見を一つに束ねて世間・国政にアピールすること」
だと俺は思っている。
そして今はネットユーザに限定されているが、
ゆくゆくは非ネットユーザも巻き込んで行くものと期待している。
だから「誰の利益のため」と言われれば、「ユーザの利益のため」が明確な答えだ。

これはネットの技術が絶えず変化し、ネットユーザもまたそうした変化に敏感なので
既成の消費者団体などではその意見を掬いとりきれないため、
非常に重要で意義があることだと俺は思っている。

そして、民主主義社会では好むと好まざるとにかかわらず
「数=力」という現実があるので、バラバラに散らばっている意見をまとめあげて
一つの力にすることが必要だ。

そして、MiAUが立ち向かう相手は何も文化庁だけではない。
今のところ著作権というものが喫緊で大きなテーマなので
その監督官庁である文化庁がメインターゲットではあるが、
場合によっては総務省だったり経済産業省だったり、国会や電機メーカ、
あるいはユーザ自身にだってなるかもしれない。
それは扱うテーマによって流動的に変わるだろうし、そうあるべきだと思う。

「アピールのためのアピールに見える」部分については
MiAUの運営・戦略上の問題かもしれない。
これはMiAU自身ある意味即席で作らざるをえなかった団体であり、
彼らも逐一反省しながら進めていようなので
今後も引き続き見守っていきたいと思う。

そして、これも大事だと思うが、特に政治というものに対してシニカルな態度をとりがちな
(そういう態度をとることをカッコイイと思いがちな)ネットのヘビーユーザに対して
「そろそろ政治にマジに取り組まないとヤバいぜ」と警告し、啓蒙する意味もある。


繰り返しになるが、MiAUはあくまでユーザ(ネットのヘビーユーザから一般の人まで)
の利益のために、世間に散らばる意見をまとめて国策に訴える団体だ。
(ここで言う「まとめる」とは勿論文字通り集計するだけじゃなくて、
 様々な意見を元に議論して「まとめあげてゆく」過程も含めた意味ね)


日本は民主主義国家なのだから、自分達の国家の進む方向は自分達で決めることができる。
というか自分達で決めなければならない。
そうした土壌はネットの普及により確実に変化しつつある。
そんな状況の中で、MiAUのような活動は決して無駄ではないし、無駄にしてはならないと思う。


さて、ここからは肝心な著作権について考えたいが、
長くなるのでまた後日にまわそう。

ひとつだけクロサカタツヤ氏の「相手は本当に文化庁なのか?」
という部分について言わせていただくとすれば、
「別に文化庁に限らない」というのが俺個人の意見。

というか、”文化庁”のあり方自体について見直したほうがいいと思っている。

文化と政治・経済は密接に関わっている(というか政治・経済も言ってみればひとつの文化だ)し、
これからのネット社会に対応するには
今の政治・特に日本の縦割り官僚機構自体があまりにも不十分だと思う。
(それ以前に日本の官僚機構自体にも大きな問題があるが、あまりに脱線するのでここでは触れない)

まぁ防衛省みたく”文化省”にしろとまでは言わないが、
文化庁の立ち位置と役割を見直しつつ、
例えば著作権については経済産業省と文化庁で合同で諮問機関をつくって
国と電機メーカ、通信事業者、放送会社、報道機関、レコード会社、レーベル、流通機構、クリエイター、そしてユーザの意見を均等に吸い取り、
論理的・建設的そして現実的な議論をして政策策定をしていくことが
必要なんじゃないか、と思うわけね。


で、補償金及びDRMについても言いたいことはある訳だけど
本当に長くなってきたのでもう次回!

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